>> From 由美
「 手紙 」
あの日
君の旅立ちを告げる電話が鳴りました
私の家の四角く小さな窓から
さんざめく新緑の青が
こぼれんばかりにきらめく光に照らされ
ざわんざわんと音をたてて
私の両の瞳を揺らしました
あの日の青は痛かった
ざわんざわんと
私は
心をもぎ取られました
それでも
いつか遠くの昔
制服が駆け抜ける古びた校舎で
心の底から笑い合った放課後に
彼方の潮風が揺らした新緑の青も
私の心は
くっきりと憶えています
下を向かずに空を仰いで。
涙など吹き渡る風にくれてやります
そこで見ていてくれるのでしょう?
君が旅立ちと共に撒いていった
きらきらとした種子は
小さな芽を生やし
やがて脈々と茎を伸ばし
瑞々しい葉々を繁らせています
そして
美しい葉々の切っ先に宿る光は
君のそのおおらかな笑顔のように
今日を生きてゆく私の道の先を
淡く照らしてくれています