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みぃちゃん

45才のお誕生日おめでとう。

貴方は、自分の存在が人の記憶から消えてしまうことを恐れてたよね。友達が貴方のことを覚えていて、ふとした会話の中、祈りの中で、貴方のことを考える機会をもってほしいと願ってました。心配ご無用。皆、貴方のことを思い出しています。

今年2月に、福岡市美術館の正路佐知子さんから、貴方の創造語「歴史する!Doing history!」を展覧会のタイトル()に使わせてもらいたいと、連絡がありました。正路さんは、テッサと仕事したことがあるそうで、それが貴方のことを知るきっかけになったそうです。正路というお名前が「正しい路(道)」ということにすぐ気づき、これも何かの縁かと思いました。「ラディカル」を読んで、「世界が開けた感覚があり、もっと知って、多くの人に読んでもらい、一緒に考えながら、歴史実践に意識的になりたい」と、思ったそうです。地元の参加アーティストが、「歴史する」行為について思考しながら、作品を準備しているとのこと。この展覧会が、一つの「爆発」のかたちになれるように、という思いで進めてくださっています。嬉しいことですね。

そして4月。UNSWインターナショナルハウス時代の貴方の友人、北村健二さんがメールをくれました。総合地球環境学研究所にお勤めの北村さんは、国内外の地域コミュニティを対象とする研究に関わっているそうで、貴方の足跡から何を学ぶことができるのか、文章にしてみたいというお話でした。原稿を私にも見せてくださったのですが、貴方の人生と研究をたどることが、彼自身の研究の新たな出発点を改めて定義するきっかけになったようです。

6月。日本オーラルヒストリー学会の理事である小林多寿子さんから、今年9月の大会が貴方の母校・一橋大学で開催されることとなり、保苅実の世界を考える特別企画として記念シンポジウムを開催する予定であること、そして、2011年の立教大学での開催のときと同様に、会場ロビーにて保苅実写真展を行いたい、とメールをいただきました。若い大学院生達にとって「ラディカル」への関心は高く、大変意義深い企画になると理事会でも一致した意見だそうです。

ねぇ、みぃちゃん。貴方が亡くなって、もう12年もたつでしょう。貴方が、32年という短い人生の間に、多くの研究分野に広く影響を与える仕事をした、これだけのモノを遺したということに、私は圧倒されています。以前、笹倉さんに言われたことが印象に残っています。毎年数えきれないほどの研究が世の中に出る中、「よい研究」が必ずしも「流通する研究」というわけではないんですって。どんなによい研究でも、流通しなかったら、存在しないも同然です。世界を変えるために遺した貴方の研究が、貴方がこの世を去った後も、流通し続けてること、私は誇りに思います。

ここで誕生日メッセージを終わりにするつもりでいたのですが、もう一つ嬉しいメールがたった今、届きました。

「Hi Yuki! たった今、貴方の編み物パターンを購入しました。このカウルのデザイン(2HB+S series: Jarrett)すごく気に入りました。そして、貴方の弟さん、Minoのコトを知り、心を打たれました。実は、私も30才の弟を癌で亡くしたんです。だから、貴方のことをとても身近に感じます。寄付集めが順調にすすむよう、祈ってます。Miranda」

今年も9月に、三回目の編み物寄付集めイベント"Nimara & Japarta: Knit-A-Thon 2016”を開催します。目標額まで、あと豪5000ドル。そのときまでに、私のテニス肘(靴下を一気に何枚も編みすぎました)が治ってるといいのですが。

誕生日おめでとう。皆、貴方のことを考えてますからね。

由紀